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【GNUS新オフィス特集】 第2回:プロダクト開発のメソッドをオフィス設計にも応用最大の実験が「GNUS DICE」-ワークスタイル・プロジェクトインタビュー


photo:Keishin Horikoshi

株式会社GNUS(ヌース)は、2023年2月、オフィスを移転しました。
オフィス移転の背景を追う第二弾として、プロジェクトを牽引した社内チーム「ワークスタイル・プロジェクト」のメンバー、小田原と栗林(共にアカウント・マーケティング・チーム所属)に、オフィス完成までの過程を聞きました。


小田原 慎(Director, Account & Marketing)大学卒業後、電通入社。営業局で大手化粧品メーカーや大手メーカーのマーケティング戦略などを担当、その後情報システム局で業務関連のシステムを担当したのち、化粧品のD2Cブランドの立ち上げのスタートアップに参画し、サービスの企画とマーケティングを担当。GNUSではセールスやマーケティング領域のディレクターとして従事。


栗林祐輔(Senior Business Architect) 2011年電通入社。シリコンバレーのパートナー企業Gigsterでの就業経験を経て、GNUS立ち上げ時より参画。以来製薬、撮影機器、自動車、飲料メーカーなどの大手企業に対し、DX戦略や新規事業立案、UXUI改善などの国内外のマーケットを対象としたプロジェクトにて、プロジェクト提案からコンサルティングまで従事。

フルリモートとジョブ型組織によるサイロ化が課題に

ー「ワークスタイル・プロジェクト」が立ち上がったきっかけは。

栗林:
 会社が成長して、クライアント様やフリーランスの方にもオフィスを利用していただく機会が増えた中で、以前のオフィスでは手狭になってしまったのが最初のきっかけです。プロジェクトメンバーとして受注・発注の立場に関係なくフェアな立場で参画するというGNUSの良さを最大化するために、オフィスというハード面も広げた方が良いということで引越しが決まりました。

小田原:
 通常、オフィスの引越しはいわゆるコーポレート部門が担当する事が多いと思いますが、クライアント担当部門のメンバーも一緒にプロジェクトに入った方が、オフィスが生み出す価値を幅広い視野で最大化できるという考えで我々が「ワークスタイル・プロジェクト」にアサインされました。

栗林:
 ビジネス上の効果を最大化したいという意図は、プロジェクト名が「オフィス引越しプロジェクト」ではなく「ワークスタイル・プロジェクト」である点にも現れています。
 「ジョブ型雇用」という言葉もよく聞かれるようになってきましたが、GNUSは創業当初からジョブ型のワークスタイルでした。各々の役割や責任範囲が明確に定義されていて、担当もカッチリ分かれています。その上で、フリーランスとの協業もあるのでフルリモートが前提です。
 それが効率的な反面、課題もあって、誰かが困っていても気づくことが難しかったり、悩みを共有する場もありません。プロジェクト外のメンバーが何をしているかも分からないので仲間意識も生まれにくく、自分の担当領域のことだけを考えるスタイルが社員の中でも定着してしまい、どんどんサイロ化していく危機感がありました。

「コラボレーション」が真ん中にあるオフィス

ーサイロを抜け出し、コミュニケーションを活性化するためにオフィスで工夫したことは。

小田原:
 新オフィスの中央の大テーブルは「話しかけてOK」な時に使うオープンスペースになっています。入り口から一番近い場所にカウンター席があり、通りかかった人とも目線が近いので立ち話が発生しやすい設計にしました。
 「コミュニケーションを取れる場所」をオフィス中央に据えて面積を贅沢にとったことは、このオフィスがコラボレーションのための場所であるという考えをそのまま表しています。
中央のオープンスペースは「話しかけても良い」執務スペース。集中して作業をしたい時には奥のソファ席やフォンブースを使用する。

中央のオープンスペースは「話しかけても良い」執務スペース。集中して作業をしたい時には奥のソファ席やフォンブースを使用する。photo:Keishin Horikoshi

栗林:
 大型のホワイトボードにもこだわりました。私のわがままで、会議室内にもオープンスペースにもホワイトボードを置いてもらっています。
 ホワイトボードは、メンバー同士の頭の中が可視化できる有効なツールです。お互いが目に見える形でアイデアを吐き出し、そこに乗っかる形でチームでビルドアップしていく工程は、やはりオフラインでホワイトボードを囲むことによって最大の効果が出ると思います。

小田原:
 我々はクライアント様の新規事業をご支援することが多いので、「アウトプットする」という行為そのものがビジネスの生命線でもあります。アイディエーションのサービスをご提供することも多いですが、リアルの場で実際に「可視化して共有する」ことの重要性を感じます。

GNUS DICEロゴ
オフィス中央の回転するフリースペース「GNUS DICE(ヌース ダイス)」。
photo:Keishin Horikoshi

オフィスそのものが、GNUSがアジャイルに開発するプロダクト

ーオフィス中央の回転するフリースペース「GNUS DICE(ヌース ダイス)」ができた経緯は。

栗林:
 これが生まれたのは偶然です。
 プロジェクトの当初から、新オフィスが社内外へのGNUSのブランディングになれば良いと思っていました。そのためにも特徴的な部分が欲しかった。
 オフィス引越しを契機としたブランディングを担当してくださったPR会社の株式会社枠さんとの議論の中で、「GNUSのアジャイル思想を体現するオフィスとして、みんなで壁や家具を動かしてオフィス自体を変化させる」というアイデアが出てきました。それをデザイナーの石井さんが「こうすれば実現できるのでは」と打ち合わせ中にその場で図面に落としてくれた瞬間、「まさにこういうのが欲しかった」とGNUSのメンバー全員がピンと来ました。
 ブランディングにつながる特徴的なものというだけでなく、これが社内のコミュニケーションの活性化にも繋がりそうだという直感もありました。あの時のスッと腹落ちする感覚は得難いものでしたね。

小田原:
 オフィスの中心となる場所に面積を割いて、用途も決まっていない回転するフリースペースを作るというのは企業としてかなりチャレンジングなことだと思っています。それを許容できるGNUSの風通しの良さを改めて感じました。
 企画してくださった枠さん、それを設計してくださったデザイナーの石井さん、実際に形にしてくださった施工チームの皆さん、そしてこんな取り組みを許してくださったテナントの皆さん、全てがうまく噛み合って形にできたので、本当にありがたいです。

今後「GNUS DICE」の様々な活用法を社員が主体となって企画していく。オフィスに変化があることで、次に来た時には何があるかわからない期待感を生み出す。photo:Keishin Horikoshi

今後「GNUS DICE」の様々な活用法を社員が主体となって企画していく。オフィスに変化があることで、次に来た時には何があるかわからない期待感を生み出す。photo:Keishin Horikoshi

ー今後の「GNUS DICE」の活用は。

小田原:
 ビジネス上の成長に繋がるオフィスとは何か、をまさにこれからアジャイルに<仮説設定・検証>していくことになりますが、中でもスクラップ&ビルドを繰り返すための空間「GUNS DICE」がオフィスの中心にあることで、GNUSらしいオフィスになりました。
 作ったからには当然これを有効活用する責任が求められるので、これからがスタートです。どのようなオフィスが事業成長に繋がるのか、クライアント様、フリーランスの方のためになるのかを常に考えられる道具があるというのは良い刺激になりますね。

栗林:
 企画段階から「オフィス設計もGNUSのプロダクト開発だと捉えよう」という考え方で取り組んできました。我々はクライアント様の事業成長のためのプロダクトを作る会社だからこそ、自社のオフィスもビジネスに寄与するためのプロダクトという考え方で作っています。
 コミュニケーションの活性化や企業の競争力にオフィスがどのような役割を果たせるのか、我々のプロダクト開発の思想を引き継いで、検証を続けていくつもりです。

ワークスタイルの仮説・検証のスタート

ー新しいオフィスへの社員の反応は。

小田原:
 オフィスに「来たい」という声も聞こえてきたり、実際に来た社員は落ち着ける場所になって喜んでくれているようなので、まずは良かったです。
 月に一度、全社会議を行いますが、全社員を収容できる場所ができたのも嬉しいです。会議はオンラインでも配信しており、社員は参加場所を選べる中で、今月は約7割の社員が新オフィスに来て出席しました。

会議室は全てガラス張りで、オフィスのどこからでもオープンスペースの気配を感じられる。
目隠しにはカーテンを使用。 壁には栗林がこだわった大型ホワイトボードも。

栗林:
 既にオープンスペースでの会話が生まれているのは嬉しいですね。会議室から出てすぐにオープンスペースにいる人と話せる動線が設計通り機能しています。

小田原:
 面白いのは、既に社員のタイプによって定位置ができ始めていることです。人と話すのが好きな人はオープンスペースを利用しますが、あまり話しかけて欲しくない人は「GNUS DICE」を挟んだ静かなスペースに自然と集まります。そこで話しかけられたくない人同士で会話するという、その人のキャラクターによってそれぞれに居心地の良い場所に集まり、そこで生まれるコミュニケーションがあるというのは、当初の設計にはなかった結果が生まれていますね。

ーこれからの「GNUS DICE」やオフィスの変化に期待しています。

次回は【GNUS新オフィス特集】第3回 2名の設計者の共創による、
環境に配慮し、世界観を創るアップサイクルのオフィスづくり-設計者対談

◆本記事に関するプレスリリース、ニュースレターはGNUSサイトからご覧いただけます。
https://www.gnus-inc.com/



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