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【GNUS新オフィス特集】 第3回:2名の設計者の共創による、環境に配慮し、世界観を創るアップサイクルのオフィスづくり-設計者対談



photo:Keishin Horikoshi

株式会社GNUS(ヌース)は、2023年2月、オフィスを移転しました。 新オフィスは「すこやかに働く」をコンセプトとするワークラウンジ「Kant.」に入居。元々あった内装や部材をできる限り引き継ぎ、「マテリアルのリレー」により環境に配慮したオフィスづくりを実現しました。 「Kant.」の元の内装を担当した建築者と、GNUSのオフィスを担当した設計者にその過程を聞きました。

左:山野井 靖氏(一級建築士)Kant.各フロア内装を株式会社SPEACと共同担当 1982年生まれ。 2006年明治大学理工学部建築学科卒業。 藤本壮介建築設計事務所、SPEACを経て、 現在、一級建築士事務所山野井靖建築事務所主宰。
右:石井 一東氏(デザイナー)GNUS新オフィスを担当 1987年生まれ。 名古屋大学工学部を卒業後、建築設計事務所勤務を経て、名城大学理工学研究科建築学専攻修士課程を修了。 2015年よりコクヨ株式会社勤務。2020年 ambos設立。2022年 株式会社ambos設立。

ワークプレイス「Kant.」が繋いだ2人のコラボレーション

ー今回のコラボレーションのきっかけは。

石井氏:
 私は今回のGNUSさんの「ワークスタイル・プロジェクト」に物件探しの段階から参加させていただいています。
 GNUSさんが「Kant.」を見つけられて「ここはどうか」というご相談を受けました。 「Kant.」はメディアにも取り上げられていて以前から知っていましたが、入居の募集が出ているなんて思いもよらなかったので、こちらを見つけてこられたGNUSさんの感度の高さに驚きました。

ー元々は「Kant.」のワークスペースとして使われていたフロアの内装を、今もほとんど残していますね。

石井氏:
 内覧で入った瞬間に「心地よい空気をまとった空間だ」と感じました。単純に「Kant.」を作られた山野井さんやSPEACさんのデザインが好きだったのもありますが、これだけ木材に囲まれる気持ちの良いオフィスに居抜きで入れるというのは本当に貴重です。既にあるものを活かした方が良いかもしれないと、GNUSさんにまずお伝えしました。
 その上で、前設計者の方にもこのプロジェクトに参加していただいた方が良い空間になると考えて私からもお願いしました。こういったコラボレーションは初めてでしたが、GNUSさんも山野井さんもご快諾くださり、今回の取り組みが実現しました。

山野井氏:
 このビルは2年半後には建て替えが決まっていますし、入居者が入れば内装も変わるので、アップサイクルを前提に設計しています。
 お話をいただいた時も、我々が作ったものをベースにGNUSさん・石井さんが新たな世界観を作り上げていくのはきっと面白くなるだろうと思いました。例えば木材も木を切る人、それを運ぶ人、加工する人…と人の手を渡っていくように、オフィスも一人の人間が最初から最後までやる必要はないと思っています。

元のオフィスの大部分を残してリフォーム photo:Keishin Horikoshi

「マテリアルのリレー」で作られたオフィス家具

ー具体的に、どのような部分を引き継いだのか。

石井氏:
 オフィス内の多くの部分は元のまま残していますが、中でも特徴的なのは「マテリアルのリレー」です。元のオフィスのパーテーションなどに使われていた木単管(木の丸棒)を、今回のオフィスでもリユースしました。木材が「寄り集まって」家具を構成している作りが、GNUSさんの「社員からフリーランスの方まで、多様な人材が集まる」という特徴とも重なりました。

木単管をパーテーション、テーブル脚、ベンチに生かしている photo:Keishin Horikoshi

石井氏:
 元々使われていた820本のうち約700本をテーブルやベンチ等の家具に再利用しています。壁面に使ったりアート作品として活用することも考えましたが、「前のオフィスを設計した方々に支えられて現在がある」という、このオフィスの成り立ちを象徴しています。
木単管以外にも、元の内装自体が木材を贅沢に使った心地よい空間だったので、天井や建具など大部分をそのまま残しています。

元の内装を残しながら、GNUSのブランド思想を体現する

ー前のオフィスを残しながら、どのようにGNUSらしさを出したか。

石井氏:GNUSさんからいただいたのが、社員だけでなくフリーランスの方も自由に働けるオフィスにしたいという要件でした。「出社させる」のではなく「来たくなる」ものにしたいという社員の方の発想に共感しました。新オフィスの出社率も100%を目指すのではなく、あくまで各自の希望に任せて「最大でも20%程度を想定している」と仰っていたのも印象に残っています。
 多くのオフィスは「社員」「お客様」の二者の関係性に配慮しますが、GNUSさんの場合、社外パートナーの方々とも関わる機会が多いため、それぞれが「心地よく同居できる境界」を意識した空間となっています。オフィス中央は「話しかけてOK」なコミュニケーションスペース、壁を背にしてゆったりと仕事に集中できるソファ席、クローズドな空間の集中ルームなど、シーンによって多様に使い分けられるので、丸一日いても快適に過ごせます。動線や席間の寸法も十分に確保してあるので、自宅では味わえない贅沢さもあります。

山野井氏:
 中でも回転する「GNUS DICE(ヌース ダイス)」ができたことで、全く違う空間に転換されたと感じます。内装において「動く」ものは通常なら扉や窓くらいですが、「場所」自体が動いて、角度が変わり、周囲の空間が拡張するというのは珍しいですね。
 「動き」のあるオフィスというのも、より良い環境を求めて大地を移動する「ヌー」が社名になっているGNUSさんらしさを感じます。元の内装を担当した私や事業者さんの世界感が、GNUSさん・石井さんの世界感で塗り替えられる。これまでの歴史が多重に重なって空間ができるというのは面白いですよね。

photo:Keishin Horikoshi

ーオフィス全体がかなり開かれた空間という印象になっている。

石井氏:
 コミュニケーションの課題を解決したいということはGNUSさんに伺っていましたが、フルリモートの方が多いので、オフィス移転後も最初は人も少なくスペースが余ると思っていました。せっかく出社したメンバーがいるのにお互いがいることに気づかず出会わないようでは意味がないので、フロア全体が開けた空間で、どこにいても誰かが会話していることに気付けるような空間になっています。

 一方で、開放的にすることで情報セキュリティの問題も出てきます。そこに山野井さんが残した木単管のパーテーションが活きました。
 元がシェアオフィスだったので、パーテーションの高さなどは利用者同士の情報セキュリティを担保できるよう、覗き見できない高さに設計されています。 
 これがそのまま使えるということで、来客エリアには元々あったパーテーションをそのまま残しています。

山野井氏:
 この木単管だけが唯一、そのまま残ってる部分です。でも以前はパーテーションでしたが、これもベンチとして生まれ変わっていて全く違うものになった印象です。

随所に施されたアップサイクルの思想

オフィス内の会議室 photo:Keishin Horikoshi

ーオフィスに飾られているアート作品は。

石井氏:
 これらは私の自主プロジェクトで制作したものです。オフィスでよく使用される吸音材を額装したアートです。ペットボトルを再利用している点もオフィスのコンセプトにマッチし、GNUSさんにも気に入っていただきました。

山野井氏:
 テーブルの天板に使われているOSBボードも、前のオフィスからの再利用ですね。国産桧間伐材を原料とするOSBボードで、接着剤をあまり使わずに作られているのが特徴です。
 岐阜の県産材の余った端材をチップにしてOSBに加工していて、ここにもアップサイクルの考えが反映されています。

photo:Keishin Horikoshi
photo:Keishin Horikoshi

石井氏:
 前の設計者の方と対話しながらの設計は私にとって初めての体験でしたが、こういう設計スタイルは今後はさらに増えてくると思います。素晴らしいと思える空間に自分が手を加えるということに、緊張感と責任感を感じる貴重な体験でした。
 山野井さんと今回余った木単管を使ったプロダクトの共同開発も進めています。
山野井氏:
 今までは、元々あったオフィスを一度ゼロにしてり直すというやり方でしたが、元々のものを残しながら全く別のものに変えるというやり方はこれからますます増えていくでしょうね。

ーありがとうございました。お二人の今後の共同プロジェクトも楽しみにしています。

◆本記事に関するプレスリリース、ニュースレターはGNUSサイトからご覧いただけます。




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